らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「たま虫を見る」井伏鱒二



今回の小説は青空文庫収録のものではありません。

もしかしたら教育関係者や高校生の方はピンと来たかもしれませんね。

そうです。
これは今年のセンター試験の小説の問題文になった作品なんです。

問題文は小説の全文になっていますので、
朝御飯を食べながら、読みながら問題もついでに解いてみました。

小説のブログをやっている威信をかけて頑張ったのですが、
最後の問6マーク19番目を間違えちゃいました(^_^;)面目ありません。


この小説は本来幸福のシンボルのはずのたま虫(画像1枚目)が、
主人公の小学生時代、大学生時代、無職時代、校正時代の
それぞれの悲しい状況の時に現れるという構成になっています。

例えていうなら、たま虫という一本の串に、各世代の時の逸話がいくつも団子のように連なっていて、
その時々、たま虫と関わった主人公のそれぞれの心情の描写がなかなか面白い作品です。

ただあまりにもタイムリーにたま虫が現れるので、やや創作臭がするというか、
ちょっとご都合主義っぽいかなというところはあります。

小説だから創作臭するのは当たり前じゃないかと言われるかもしれませんが、
創作臭の過ぎた作品は読んでいてリアリティが感じられないので、
自分的には作品になかなか入り込むことが難しいんです。
実はSFや冒険小説でもリアリティというのはあると思うんです。
井伏鱒二「たま虫を見る」は創作臭が過ぎるというところまではいきませんけれども。

この作品は、たま虫を物語の一本の筋として、
その時々の主人公の心情を絡めているので、
それぞれ比較する感じで、試験問題は作り易いかもしれませんね。

そのように、主人公の、それぞれ時代ごとの悲しい時に、たま虫との出会いが続いてきたわけですが、
最後、何日か前に捕まえたたま虫が、着物の袖の中で少量の醜悪な粉末となっているのを発見し、
主人公はその粉末を窓の外にふきとばして、自分の未来を空想して物語は終わるんです。

自分は悲しみの象徴のたま虫の「醜悪な」粉末を窓の外に吹き飛ばしたので、
ある意味、今まで引きずってきた主人公の心が吹っ切れたのかなと思ったんです。

ところが問題と解答を見るとそれは深読みだったみたいでして(^_^;)
それに関わる問6を間違えてしまいました。


この小説に興味のある方は、今週日曜日の朝刊に問題文と解答が載っていますし、
各予備校のネットにも掲載されているようなので、ぜひ読んでみてください。